土庄町での自治体職員向けセミナー開催報告
2025年4月14日、香川県の土庄町役場にお邪魔して「地理空間情報を使ったスマートシティセミナー」を開催しました!参加いただいたのは、総務課、デジタル推進室、建設課、企画財政課、商工観光課などの皆さまでした。
地理空間データを活用することで、職員の皆さんの業務が楽になったり、町民の暮らしや町を訪れた観光客とのやりとりが便利になるような議論を行いましたので、レポートします。
スマートシティセミナーの開催をご希望の方はこちらのページから詳細をご覧ください。特別な準備は必要がなく、デジタル地図を使った課題解決につながるワークショップを開催させていただきます。
地理空間データに詳しくなれる「地理空間データ基礎知識講習」
セミナーの前半は、基礎知識として以下の項目について、ジオロニアからお話しました。
- 地理空間情報って何?
- こんなにある!無料ですぐに使える地理空間データ
- 地理空間データを使った課題解決の「サービス」ってどういうこと?
というテーマです。
特に、国土地理院、国土交通省、法務省、警察庁、厚生労働省などが地図データを配布・配信しているものを一つ一つ見ていくときには次のような声を聞かせていただきました。
- 「これ全部無料なんですね。なぜ知らなかったのだろう」
- 「過去の空中写真は、教育や観光の文脈でそのまま使えそうですね」
- 「法務省の地番のデータの更新頻度はどのくらいですか?一年?ということは場面によってはこちらを使えば役場の作業や発注などはなくサービスを作れそうですね。」
- 「人流データは観光の場面でぜひ必要です」
考えてみよう。データをサービスに繋げて課題を解決するには
後半は以下のプログラムで構成しました。
- 普段の業務で使っている地理空間情報をリストアップ
- 国や民間の地理空間情報で使いたいもの
- 解決したい課題とデータを行ったり来たりしてサービスを企画しよう
ジオロニアがご用意したワークシートを使って防災、観光、移住・定住の3グループでわいわいとやっていただきました。
国や県のデータを基礎に考えられるので地域ならではのデータを考えたり、実際の業務の場面で時間がかかっているところから「こんな仕組みがあれば、業務時間が減りそうだ」と議論をしていただきました。
それぞれのアウトプットとしては、次のようなアイディアを一緒に生み出しました。
移住・定住
- 問い合わせの中には地図として掲載するだけで、電話対応やパンフレット送付がなくなるものがとても多い。たとえば、海の見える家のあるエリア、そのエリアの学校や子育て環境、生活環境、家までの道は車が通れる道かどうかなど。
- 空き家の具体的な位置や住所については連絡先などを空き家バンクに登録していただいた移住検討者のためだけに見せられる仕組みと、内見の日程調整用の簡単な仕組みがあれば、業務が減る
- 年間で900件以上の問い合わせに2名分の稼働で対応しているが、重複したものも多く、地図上の情報掲載で量を減らし、地図と問い合わせ受付および日程調整のツールの組み合わせで長時間あちこちとやり取りする時間を削減できそう
観光
- オーバーツーリズム: 人、駐車場、観光スポットの埋まり具合などを集めることで分散を考えたい。人流データやセンサー情報を用いた誘導の計画ができる
- 土渕海峡横断証明書: ギネス記録になっている世界一幅の狭い海峡を横断した証明書を発行しているが、役所での作業が多い。現場でQRコードを読み込むと地図アプリが立ち上がり、位置情報をその瞬間だけ共有してもらうことで、半径50メートル以内にいれば証明書を発行するような仕組みはどうか。また、日付や天気、ご当地キャラクターや聖地アニメのキャラクターと一緒に写真が撮れるような仕組みにすると自分だけの証明書が作れる。他の観光スポットでも実施することで、回遊も促せるのではないか
- 決済の仕組みを取り入れることで、地域、行政、観光客各々の手間が減らせる場面がいくつかある
防災
- ハザード情報は国のデータである程度揃うことがわかったので、AEDなど庁内で整備が行われているらしいデータを集めると「高松マイセーフティーマップ」はすぐに作ることができる
気象庁や気象台などから、特定の台風に関して潮位や高潮の高さの予測がもらえる。地理院の標高データで浸水のリスクがある場所を、台風ごとにある程度予測を出すことで、警戒レベルの判定に利用できるかを検討したいなど、職員の方々と活発なディスカッションを通して、具体的な課題解決のアイデアや現場で役立つヒントを多く共有できました。
まとめ: スマートシティとは?
「スマートシティ」とはなんでしょうか?内閣府によれば以下の定義になっています。
「グローバルな諸課題や都市や地域の抱えるローカルな諸課題の解決、また新たな価値の創出を目指して、ICT 等の新技術や官民各種のデータを有効に活用した各種分野におけるマネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、社会、経済、環境の側面から、現在および将来にわたって、人々(住民、企業、訪問者)により良いサービスや生活の質を提供する都市または地域」
ここからいくつかポイントを抜き出すと、「官民のデータを使って業務量を減らすことと新しい価値を住民に届けることができている町」となります。
今日のセミナーで上がった企画はどれもスマートシティサービスの条件を満たしています。庁内で同じデータや仕組みを何度もいろんな場面で使っていくことで、採算性を確保しながらスマートシティの推進に向けて引き続き取り組んでいくこととなりました。
会が終わった後には、人口1万人強という小さな自治体ならではの取り組みの優先順位について、簡単に具体的に使えるデータとツールから取り組んでいくべきであろうという前向きな方針についてもお話ししました。

土庄町役場のみなさま、ありがとうございました!
ジオロニアでは全国の自治体でのスマートシティ実現に向けて取り組んでいます。地理空間情報を使った課題解決セミナーについて詳しく知りたい方はこちらのセミナー紹介ページをご覧ください。