Googleスプレッドシートと「詳しすぎるマニュアル」が決め手

株式会社tent tent

会社概要

「情報と人の点と点をコツコツとつないでいく」をミッションに2020年7月設立。メイン事業は愛犬とのおでかけ情報メディア「おでかけわんこ部」の運営。メディアの枠を超えペットツーリズムを推進する事業も進めておりユニ・チャーム株式会社様や神戸観光局様とも協業中。2022年3月ビジコンOSAKAでベンチャー大賞を受賞。


愛犬と一緒にお出かけしたいという愛犬家のためのサービス「おでかけわんこ部」を運営する株式会社tent tentは、2023年1月に愛犬とお出かけできるスポットを地図上に表示する「おでわんMAP」をリリースしました。

おでわんMAP – おでかけわんこ部 | 愛犬とのおでかけスポット(カフェ・宿)を紹介

https://odekake-wanko-bu.com/odewan-map/

この「おでわんMAP」の開発は、Geoloniaが提供する、独自の地図を簡単に作成できるサービス「Geolonia PWAマップ」(以下PWAマップ)を利用しています。なぜPWAマップを選んだのか、株式会社tent tentの田合さんにお話しを伺いました。


愛犬家が自ら立ち上げた、愛犬家のためのコミュニティ「おでかけわんこ部」

――最初に「おでかけわんこ部」とは、どんなサービスか教えていただけますか。

田合@tent tent 「おでかけわんこ部」は、愛犬と一緒に楽しむことができるスポットに関する情報を集めて発信するコミュニティで、WebサイトとInstagramがメインの媒体です。2019年に立ち上げた当初は、私ひとりでやっていたんですが、2020年に法人化して、現在は株式会社tent tentとして事業化を進めています。

サービスを立ち上げたきっかけは、私自身が愛犬とお出かけするための情報が欲しかったからなんです。数年前に私が心のバランスを崩してしまった時期があり、一時期は引きこもりのような状態になっていたのですが、愛犬の「きなこ」を迎えて、一緒にお散歩に出かけるようになり、そのうち犬と一緒に入れるカフェで美味しいご飯を食べたり、そこで他の愛犬家さんと何気ない会話をしたりすることで、ちょっとずつ元気になることができたんです。

そこで、もっといろんな場所にきなこと出かけようとしたのですが、その頃は愛犬とのお出かけ情報が見つけにくい状況だったんです。あるスポットの公式Webサイトを見ても画像がなくて雰囲気がつかめなかったり、小型犬だけなのか、大型犬も大丈夫なのかといった細かい情報が載っていなかったりしました。

そこで、愛犬家の方のinstagramや点在しているいろんな情報を整理して発信したら、みんなのワクワクにつながるんじゃないかと思って、自分で情報を集めて発信することを始めました。結果的に多くの愛犬家に共感してもらえて、ライターさんなどのサポートメンバーにも恵まれて徐々に規模が大きくなっていき、現在は社員や外部スタッフを合わせて8人で運営しています。社名の「tent tent」も、点在している情報とか人をつないでいきたい、という最初の目標が由来です。

おでかけわんこ部

掲載するスポットは、Webサイトの情報提供フォームやinstagramのコメントなどで、利用者の皆さんから投稿いただいており、ありがたいことに愛犬と同伴可能なカフェや飲食店、全国のドッグランの情報が集まってくるようになりました。そうした情報をすべて確認し、整理してウェブサイトに掲載したり、Instagramに投稿しています。実際に利用された方の感想も載せることで、愛犬家目線でのリアリティがあるため、ユーザーさんだけでなく施設側からも好評をいただいています。


「私でもわかる!」Google スプレッドシートでの更新がPWAマップの魅力

――「おでわんMAP」の概要や、開発しようと考えた経緯をお伺いできますか。

田合@tent tent 「おでわんMAP」は、愛犬と一緒に入店できる施設を地図から検索できるサービスです。地図上に飲食店や宿泊施設、ドッグランなどのカテゴリごとのスポットが、それぞれのアイコンで表示されており、表示するカテゴリを絞り込んだり切り替えたりしながら、現在地や特定のエリアから愛犬とお出かけできるスポットを探すことができます。アイコンをタップすると、それぞれのスポットの詳細な情報を見ることができ、リンクからおでかけわんこ部のレビューを読むこともできます。

おでわんMAP

地図サービス自体は、おでかけわんこ部を始めた当初から作りたかったんです。2019年におでかけわんこ部を始めてすぐの頃から、「地図で見たい」というユーザーさんの声が多かったんですね。出かけた先でGoogleマップとかを見ながら、飲食店とかを探すことを皆さんしたことがある人は多いと思います。

Webの記事には、Google マップでスポットの地図を埋め込んでいるものもあるんですが、地図として見る以上のことはできないんです。地図アプリを作るのはハードルが高いなと思っていましたが、もっと便利なオリジナルの地図を作りたいという気持ちは、ずっとありました。

そんな時、GeoloniaさんのPWAマップのことを知ったんです。Googleスプレッドシートに入力するだけでオリジナルの地図が作成できるとあったので、「Googleスプレッドシートなら毎日、私も使ってるからわかる」と嬉しくなって、これなら作りたいサービスが実現できるかもと思ってGeoloniaさんに問い合わせました。


カテゴリーの分類が便利。スポット詳細への広告導入で新たな収益源にも

――おでわんMAPは、PWAマップをベースにしていくつかカスタマイズを行っていますが、実装してよかった点はありますか。

田合@tent tent カテゴリーの分類機能ですね。スポットをカフェや宿泊施設といったカテゴリーで分類して探せるようにしてもらいました。それぞれのカテゴリーごとにアイコンも変えているので、見た目もわかりやすくなっています。

リリースした当初は「飲食店」「ホテル・宿」「ドッグラン」という3つのカテゴリーでしたが、いまは「ショッピング」「水族館」「道の駅」といったカテゴリーも追加しています。カテゴリーの追加はおでかけわんこ部の編集チームからの提案だったり、読者からの要望を受けて追加しているのですが、こうした追加が簡単にできるのがいいですね。

リリース後にカテゴリーを拡充。水族館は魚のアイコン

甲斐@Geolonia カテゴリーを増やすこと自体は、あらかじめ仕組みとして用意してあるので、Googleスプレッドシート上で追加するだけで対応できます。「おでわんMAP」のようにスポットをアイコンで表示するようにしたり、表示内容をカスタマイズする場合にはカスタマイズが必要ですが、それも簡単な作業で対応できるようにしています。

田合@tent tent また、ビジネス面では、アイコンをクリックすると表示される、スポットの詳細情報を自由にカスタマイズできるようにしてもらったことで、スポットに広告を表示しています。現在は宿泊施設のスポットに楽天トラベルのリンクを設定していて、ここから実際に宿泊施設を予約してもらうことで我々の収益にもなります。

スポットに広告エリア

まだサービスが始まったばかりなので金額としては若干ではありますが、それでも安定した収益にはなりますし、ユーザーが増えることで我々としても新たな収益源としても期待しています。

今後もスポットの詳細情報を飲食店や施設の方に活用していただき、PR枠としてマネタイズに繋げられればと考えています。例えば、イベントの告知であったり、その様子の写真だったりといった見せ方を検討しています。


日頃の運用はスプレッドシートを更新するだけ。今後はさらなる自動化も検討

――おでかけわんこ部の更新はどのような体制で行われているのでしょうか。

田合@tent tent おでかけわんこ部のWebサイトはWordPressで構築していて、スポットごとにマップに掲載しているかどうかのフラグを立てて管理しています。毎月コンテンツをチェックして、新しいスポットが追加された場合は、エンジニアがWordPressからGoogleスプレッドシートに人力で情報を入力しています。

カテゴリーやアイコンの設定そのものは委託している保守会社さんにお願いしているのですが、データの追加はスプレッドシートを更新するだけでいいのでとてもありがたいです。

新しいスポットの反映はGoogle スプレッドシートを更新するだけ

ただ、更新作業自体は簡単なものですが、スポットの休業だとか営業情報の変更だとかも、全部手動になっているので、ここが自動化できればもっとユーザーの利便性が上がるのかなと考えています。

甲斐@Geolonia Geoloniaの地図サービスは、基本的にはデータベースさえあればどんな情報でも地図上に表示することができます。だから、あらかじめデータベースを持っているところなら、APIで連携して自動的に地図を更新するということも簡単にできるんです。

ただ、そうした仕組みを開発するのはそれなりにコストも掛かりますし、メンテナンスも考える必要があるので簡単に始めることは難しいため、できるだけ手軽に地図アプリを始められるように、ということでPWAマップを開発しました。

おでかけわんこ部のようにに、データベースを構築するほどではないけれどある程度の情報が蓄積されていて、それをまとめて地図にしたい、という用途としては、おでわんMAPはPWAマップをとてもうまく使っていただいていると思います。


文系の人間でもわかりやすいマニュアルのおかげで地図が身近な存在に

田合@tent tent マニュアルはとてもわかりやすかったのもありがたかったです。地図アプリは本当に雲の上の存在みたいなイメージだったんですが、Googleスプレッドシートで作れると知って、文系の人間としてはすごく引き寄せられましたから。きっと他にも同じような人はたくさんいると思います。

甲斐@Geolonia PWAマップの利用には、Githubというサービスで初期設定が必要なんですが、エンジニアではない方には、それだけでも高いハードルなんですね。そうした「エンジニアではない人」がつまづきそうなところについては、開発時に内部で徹底的に議論をしてできるだけつまずきそうな箇所をなくすようにしつつ、どうしても必要な部分については丁寧に解説したマニュアルを用意して、技術に自信がない方でも利用していただけるようにしています。

PWAマップのマニュアル

Googleスプレッドシートを使うことも含めて、「エンジニアではない人」にとってのハードルを下げることがPWAマップのこだわりポイントなので、その点をご評価いただけたのは開発側としても嬉しいですね。


利用者からは「こういうサービスを待っていた!」と感動の声

――お使いいただいた利用者の感想はいかがですか。

「こういうサービスを待ってました!」という声が多いですね。特に現在地から探せる機能が非常に喜ばれていて、犬を連れた旅行中、どこだかわからない場所で今いる場所からすぐにスポットを探せることが感動されています。おでわんMAPを使った会員の方からの声も多数いただいていて、Webサイトで紹介しています。

ユーザーの声

メディアにも取り上げていただいて、3月には産経新聞に取材していただき、その新聞記事を紹介するというコーナーで、朝日放送の「おはよう朝日です」でも取り上げていただきました。私は聴けてはいないのですが、浜村淳さんのラジオでも紹介いただいたみたいです。

「おでわんMAP」が産経新聞、おはよう朝日ですで紹介されました! – おでかけわんこ部 | 愛犬とのおでかけスポット(カフェ・宿)を紹介

https://odekake-wanko-bu.com/%E3%80%8C%E3%81%8A%E3%81%A7%E3%82%8F%E3%82%93map%E3%80%8D%E3%81%8C%E7%94%A3%E7%B5%8C%E6%96%B0%E8%81%9E%E3%80%81%E3%81%8A%E3%81%AF%E3%82%88%E3%81%86%E6%9C%9D%E6%97%A5%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%A7/

利用者も順調に増えています。おでわんMAPの開始に合わせて、かねてから提供したかったメールマガジンを開始しました。メールマガジンに登録した会員向けにおでわんMAPを提供しているのですが、すでに8,000人近い人に使っていただいていて、年内1万人という目標も前倒しで達成できそうです。

――ありがとうございました。

Geolonia PWAマップについて

利用についてはこちらのマニュアルをご覧ください。

Geolonia PWAマップ ユーザーマニュアル(初期設定編)
https://blog.geolonia.com/2022/05/17/pwamap-manual-setup.html

Geolonia PWAマップ ユーザーマニュアル(マップ更新編)
https://blog.geolonia.com/2022/05/17/pwamap-manual-map.html